世見深堀り
2024/1/20
【第85回世見深掘り】1年間に4万種もの生きものが絶滅している!
月刊ムー制作担当者が、世見を独自の視点で探究する会員限定特別コラム「世見深掘り」。
第85回は、2023年11月19日の世見「絶滅危惧種」に書かれている内容を深掘りします。
緑色の文字は、「世見」からの引用です。
現在地球上から多くの生物が消えています。
その殆どの原因は人間の活動によるものです。
1500年以降、地球上から姿を消した動植物は800種以上もあると言われています。
環境省によると、1975年以前は、1年間に絶滅する種数は1種以下でしたが、現在は1年間に4万種もの生きものが絶滅しているそうです。
また、照子さんが書いているとおり、原因のほとんどは、地球上における私たち人間の活動だといわれています。
私の子供の頃、道は今のように舗装されていませんでした。
道には犬の糞があり、銀色をした蠅(はえ)が群がっていましたが、今はこの光景を見ることはありません。
もしかすると、道を舗装したことで生態系を変えてしまった思いがいたします。
アスファルト舗装工事に使用される液体や、タイヤに散布されるアスファルト付着防止剤は、雨水とともに土壌や河川へ流出するため、汚染の原因として危惧されています。
また、アスファルト舗装が、喘息や公害病を誘発する二次有機エアロゾルをガソリン車やディーゼル車よりも多く発生していることや、ヒートアイランド現象の一因となっていることが明らかになっています。
2006年、ホッキョクグマは絶滅の危険性が増大し、近い将来、野生ではすでに絶滅し、飼育のみ生存すると言われていましたが、あれから17年が経ち、大変心配になります。
日本に於いてはイリオモテヤマネコ、トウキョウトガリネズミなど、今も数百種が絶滅危惧種に認定されています。
そういえば、ジュゴンはどうなったのでしょうか。
ホッキョクグマの個体数は年々減少しており、2022年の時点で約26,000頭。
数年前には「気候変動対策をとらなければ2100年には絶滅する恐れがある」という研究がイギリスの科学誌「Nature Climate Change」に掲載されて話題になりました。
個体数が減った原因は、地球温暖化により海氷が大幅に減少し、生息域が狭められたことです。
イリオモテヤマネコの個体数は現在100頭あまりといわれ、環境省第4次レッドリストでは絶滅危惧種IA類に掲載されています。
減少の原因として最も深刻に捉えられている問題は交通事故。
観光客の多くがレンタカーで移動する最中、とくに夜間にイリオモテヤマネコを挽いてしまうそうです。
トウキョウトガリネズミは、ユーラシア大陸北部に分布するチビトガリネズミの亜種で、北海道だけに棲息しています。
全長約5センチ、体重約2グラムで、世界最小の哺乳類のひとつといわれています。
人目につきにくいこともあり、頭数などについては把握されていないようです。
ちなみに、北海道にしか棲息していないのに「トウキョウ」という名がついたのは、標本に付された「Ezo(蝦夷=北海道)」という表記を「Edo(江戸=東京)」と誤読したことが原因だそうです。
ジュゴンは世界的に絶滅が危惧されており、日本近海に棲息する個体数は現在50頭以下。
個体数が減少した原因は、人間による乱獲や漁網への混獲と、沿岸の環境の悪化といわれています。
ジュゴンは浅瀬に分布する海藻を食糧とするため、人間の生活圏に近い海域で生きていくしかなく、それゆえに深刻なダメージを受けてしまうようです。
蛇足ですが、個人的に、どうしてこれをもっと問題視して取り上げないのだろう、と思っていることがひとつあります。
それは、昆虫の個体数が大きく減少していることです。
クレーフェルト昆虫学会が2017年に発表したところによると、1988年〜2016年の27年間、飛翔性昆虫の総重量が76%減少したそうです。
この発表は世界中で話題になり、日本でも昆虫愛好家で解剖学者の養老孟司さんや、生物学者の福島晋一さんらが、さまざまなメディアで言及しました。
また、この発表をきっかけに各国の昆虫学者がデータの洗い出しに取り組んだところ、米国ニューハンプシャー州の保護区の森では、1970年代半ばから甲虫が80%以上減少し、オランダではチョウの個体数が19世紀末に比べて約85%失われ、米国中西部ではカゲロウの個体数が2012年の半分以下になっていたことがわかりました。
昆虫は非常に種類が多く、動物の全種類の約80%を占めています。
また、ミツバチを見てもわかるとおり、生態系に果たす役割も大きなもので、昆虫がいなくなれば、花を咲かせる植物はほぼ全滅するといわれています。
照子さんならずとも、地球の未来を心配せずにはいられません。
ゴミをちゃんと分別するとか、排水溝に油などを流さないとか、とっても小さなことでしかありませんが、自分にできることをしていきたいと思います。